108号室  早乙女翔 「もしもし〜?あーお久しぶりー。今ヒマ?」 「あーそうか残念だね。会えたらまた明日ね」 ピッ ピポパポ 「もしもし〜?明日空いてる?」 「そっかぁわかった。」 ピッ …。 次の日ボクは携帯を忘れた。 なんだかとてつもなく心細かった。 家に帰ると携帯が机の上にあった。 なーんだこんなところに… 画面は真っ暗だった。 電源ボタンを押してみる。 つかない。 充電器に差し込んでみる。 つかない。 いったん電池を取り外してボタンを押す。 つかない。 ちょっと叩いてみる。 つかない。 ボクはいらついて携帯を放り投げた。 後に残ったのは 後悔と孤独だった。 あなたの声・・・。 あなたのかすれた吐息・・・。 私を愛おしそうに触る指・・・。 すべてが好き。 あなたが好き。 でもあなたは他の子に夢中なの。 私なんていないかのようにその子と楽しく おしゃべりなんかしてる。 ちゃんと私を見て! でも、その子と喋っている横顔が一番好き…。 この横顔を一番近くで見れるのは私なんだ。 あの子にもマネできない。 今夜もあなたは私を狂わせる… 「もしもし?」