206号室  日下緑青 「ロクショー先生!もう時間無いッスよー!!」 「はいはいはい!間に合わせますから!大丈夫ですから森さん!」 そんなことは言われなくてもわかってる 現在深夜2時 締め切りまで残り8時間 まだ8時間もあるじゃないかッ! そう考えないととてもじゃないがやってられない ちなみに残り5枚、真っ白だ ・・・絶望的 そういえば二日はまともに寝てないな 人間5日くらい寝なくても何とかなるもんだから大丈夫大丈夫 「せんせぇええ!」 さっきからうるさいなあ 「わかってるって!森さん」 そう、間に合いそうにねえってことがわかってる 「田伏ェ、ここんとこトーン、41番な、いい感じで削りいれてくれよー。野崎〜はココこの写真起こしででっかくどーんとビル!」 「「ウィーッス」」 「あと村木ー、ここホワイトよろー」 「うーっす」 それでも間に合わせるために気合だあ 無常にも時計の針は進んでっちまう 残り5時間 外がぼんやり明るくなってきた あーくそ!おわんねえぞコレ! 「コミックマスターJを呼べええええ!!」 やってられるかぁああ!! 「落ち着いてください!ウチには500万なんて無いです!!」 「先生、村さん落ち着け!居ねえから!そんな人!」 「何ぃ!俺の漫画に魂が無いから描けないだとぉ!!」 「落ち着いてください!まだ呼んでません!!」 「だから落ち着けって!!居ねえんだよそんなヤツ!!」 後で一人田伏が手ぇ叩いて笑ってる いや仕事しろよお前は 残り3時間 完璧日が昇ってるし、今日もいい天気だなー 子供たちの元気な声が頭によく響く うっとおしい しゃべる気力もないぜ、まったく 残り1時間 どうにかこうにか終わりそうだ どうもさっきから静かだと思ったら 森!コノヤロウ!寝てやがるし! もちっと余裕があったら額に肉ってかいてやるのに! リミット やっと、なんとか、終わった 奇跡か、奇跡なんだな!? 全員ヘロヘロの中、森さんだけ一人元気に原稿もって走っていった そりゃ寝てたもんな さて、ゆっくり休むとするかぁー 「センセェー?カレンダー明後日に丸ついてますけど何かあるんですか?」 あ、忘れてた・・・ 「わりぃ、次の締め切り」 一瞬の静寂の後 「死ねええええ」 「帰る!寝させろ!!」 「こんのハゲぇ!」 「誰がハゲかァアア!!」 また修羅場が始まる 「ブラックジャックを呼べぇええ!!腕四本にしてもらう!!」 「落ち着いてください!ウチにはあの人に払える金なんて無いです!!」 「だから落ち着けって!!居ねえんだよそんなヤツはッ!!」