208号室 広田学 携帯電話を片手に持つ アドレス帳から目的の名前を探す 電話をする一歩手前で俺は踏みとどまる。 「またか・・・」 俺はあの人に電話をかけたいのだ。 しかし、これといって用件も無い。 用件も無いのに電話をかけても無駄では無いのか? そして俺は・・・ またいつものように鳴らないベルをいつまでも待つ この部屋に一人孤独に・・・ 都会という魔物に怯えながら・・・ 俺はいつまでもいつまでも携帯の画面を眺めていた