209号室 元美咲 窓から今日は月の光が入ってくる。 あの人はこの月を見ているのだろうか・・。 私は物音を立てないように、壁に耳をくっつけた。 目を閉じて耳をすます。 少しの音でも聞き取れるように。 「かちっ、かちっ」 あれ? さっきから同じ音が聞こえる。 「かちっ」 機械の音かな・・ 私はもっと体ごと壁により、ゆっくりと目を閉じる。 「りりりり・・・」 窓際に置いていた携帯が静かに鳴った。 私はその場所から離れ、急いで携帯に駆け寄り着信相手を確認する。 ・・なんだ、違う。 望んでいる人からの電話ではなく、ため息交じりの声を出した。 はぁ。 携帯を左手に私は月を見上げた。 月はもぅ傾きかけている。 無意識に携帯を開け、閉じる。 「かちっ」 あれ? この音。 もぅ一度繰り返してみる。 「かちっ」 そぅか・・ 私は月を見上げる。 今日はもぅ少し起きておこう。 私は隣の部屋の音に耳を傾け、そう思った