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一筋奔る鉛色
それとも茜色
腐り始めた指が
意志とは関係なく
引き金を絞る
二筋光る無色
それとも紅色
解け始めた瞳が
意思とは関係なく
涙腺を絞る
誰も傷つけることなく生きて
誰も傷つけることなく死んで
それが唯一つ
たった一つ
望みであり
誓いであり
祈りだった
最後にこの指は
意思を裏切り
意志をあざけり
遺志をもせせら笑う
流れる涙も
流れる言葉も
流れる弾には届かない
傷つき傷つき
人を傷つけぬよう生きてきたはずなのに
傷つき傷つき
傷つくのは
僕一人で十分だったはずなのに
腐り落ちた右手には
空の弾倉
硝煙の匂い
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2005/10/10(Mon) 00:31
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