第26回 「」 作品数:5

+ オアシス / 右折禁止

砂嵐吹きすさぶ
砂漠で出会った自動販売機
売ってるのはただ一種類
プリンシェイク
「5回ふってから飲んでね」
そう書いてあった
3日ぶりの水分 私はありったけ買った
5回こう言い プリンシェイクを一気飲み
キライ
キライ
キライ
キライ
キライ

2006/04/20(Thu) 20:12:35


+ トンネル / あじへい

いつ崩れるか わからないぜ
慎重に 掘り進め
腕の角度は 一定に
指先だけで 掘れ
友達は みんなして
夏期講習に行ってるが
俺だけは 遊ぶぜ 全力で
砂場で遊ぶ 14歳は
俺ぐらいなもんだろう
砂場で遊ぶ 受験生は
俺ぐらいなもんだろう
無駄なことを考えるな
肘が開き始めてるぜ
指先だけで 掘れ
掘り進め

2006/04/20(Thu) 01:15:47


+ 鳴き砂 / アヲイ

握り締めた拳の
硬く閉じた指の
間から

さらさらと

零れ落ちる

一粒
二粒

拡げた掌に残った砂も
吹かれた風に
攫われた

空の手に残るのは

ざらりとした
感触

ただ

それだけ

2006/04/20(Thu) 00:57:59


+ 星の砂 / リツカ

小瓶の中で揺れる。
それは私の揺り籠。

さらり。さらさら。

さらり。さらさら。
音だけが鼓膜を揺らす。

さらり。さらさら。
小さな小さな粒が
私を唄う。

私は耳をかたむける。

さらり、さらさらさら。

小瓶の中で揺れる。
それは私の記憶の揺り籠。


四角い部屋の中。
他には何もいらない。
小瓶の中、踊る音を聴く。

さらさら、さらさらさら。
揺れる、星の砂。

2006/04/14(Fri) 13:43:08


+ 砂の世界 / むなし 遺書

真っ白な砂粒が当たり一面に広がった世界で僕は目を覚ます

ここが砂漠なのか、浜辺なのか、大きな大きな砂場なのか
そこには、おもちゃが砂に埋もれて顔を出している
そこには、箸や茶碗や衣服に車に自転車が、ゴミ捨て場みたいに埋もれて顔を出している

そんな中僕が観てしまったもの・・・
それは、東京タワーの先っちょ

そして、理解

「ああ、ここは、砂漠でもなく、浜辺でもなく、もちろん砂場でもなく、未来だったのですね」

2006/04/14(Fri) 02:18:55


EOF